マーケティング予算の組み方と配分の考え方
戦略設計

マーケティング予算の組み方と配分の考え方

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

マーケティング施策を継続的に回していくうえで、避けて通れないのが予算の問題だ。限られた資金をどこに配分するかによって、成果は大きく変わる。本記事では、BtoB企業を中心に、マーケティング予算の策定方法と配分の考え方を整理する。

予算策定の基本アプローチ

マーケティング予算の算出には、大きく分けて二つの方法がある。

売上比率法

前年度もしくは今期の売上見込みに対して、一定の割合をマーケティング予算として確保する方法だ。業界や企業規模によって異なるが、BtoB企業では売上の3〜10%程度を充てるケースが多い。計算がシンプルで経営層にも説明しやすい反面、売上が下がると予算も縮小するため、攻めの投資がしにくい構造になる。

目標逆算法

「年間で商談を何件つくりたいか」「そのためにリードが何件必要か」といった目標数値から逆算して、必要な施策と費用を積み上げる方法だ。根拠が明確で合理的だが、前提となるCVRやCPAの実績データがないと精度が出にくい。過去の運用データが蓄積されている企業に向いている。

実務では、売上比率法で大枠の予算感を掴み、目標逆算法で施策の妥当性を検証するという併用が現実的だろう。

BtoBにおける予算配分の特徴

BtoCと比べて、BtoBマーケティングの予算配分にはいくつかの特性がある。

まず、購買検討期間が長い。そのため、短期的な広告投下だけでなく、ナーチャリングやコンテンツ制作といった中長期施策への投資が欠かせない。また、ターゲットの絶対数が少ないケースも多く、大量リーチよりも精度の高いアプローチにコストをかける方が合理的になる。

展示会やセミナーといったオフライン施策の比率が高い点もBtoBならではだ。一回あたりの出費は大きいが、質の高い商談につながりやすい。オンラインとオフラインのバランスを事業特性に合わせて設計することが重要になる。

チャネル別の投資配分をどう判断するか

予算配分の判断には、二つの軸を使い分けるとわかりやすい。

一つは「効果の即効性」だ。リスティング広告やターゲティング広告は、出稿すれば比較的すぐにリードが発生する。短期的な目標達成が求められている局面では、こうした即効性の高い施策に厚めに配分する。

もう一つは「資産性」だ。オウンドメディアの記事やホワイトペーパーは、制作コストがかかるが、一度つくれば中長期にわたって集客やリード獲得に貢献する。来期以降を見据えた投資として、全体の20〜30%程度をこうした資産型施策に回しておくと、翌年以降の獲得効率が改善しやすい。

いずれの場合も、過去の実績からチャネルごとのCPAやCVRを把握し、定量的に比較できる状態をつくることが前提になる。

短期施策と中長期施策のバランス

予算を組む際に陥りやすい失敗が、短期施策に偏りすぎるパターンだ。四半期ごとの数字を追いかけるあまり、広告費ばかりが膨らみ、コンテンツやブランドへの投資が後回しになる。結果として、広告を止めた瞬間にリードがゼロになるという脆い構造ができあがる。

理想的なのは、短期施策で「今期の数字」を確保しつつ、中長期施策で「来期以降の土台」を同時に積み上げる構成だ。比率は事業フェーズによって変わるが、立ち上げ期は短期7割・中長期3割、安定期に入ったら短期5割・中長期5割くらいを目安にするとバランスが取りやすい。

ROIとROASの管理実務

予算を使ったあとの効果測定も、次期の予算獲得に直結する重要な業務だ。

ROI(投資対効果)は、マーケティング投資から得られた利益を投資額で割ったもの。ROAS(広告費用対効果)は、広告費に対する売上の比率を示す。BtoBでは商談から受注まで数か月かかることも多いため、リード獲得からクロージングまでの全体を追跡できる仕組みを整えておく必要がある。

SFAやMAツールとの連携で、チャネル別・施策別の貢献度を可視化し、月次もしくは四半期単位でレビューする運用が望ましい。数値が揃っていれば、次期の予算交渉でも「根拠のある提案」ができるようになる。

経営層への報告と承認の取り方

マーケティング部門にとって、予算の確保は社内営業でもある。経営層は投資に対するリターンを求めるため、感覚的な提案では通りにくい。

報告のポイントは三つ。まず、事業目標との接続を明示すること。「売上目標○○円を達成するために、商談○件が必要。そのためのマーケティング投資がこの金額」という構造で説明する。次に、過去実績との比較を添えること。前年の投資額と成果を示したうえで、今期の計画を提示すれば説得力が増す。最後に、撤退基準を明確にすること。「○か月で○件のリードが出なければ施策を見直す」という損切りラインをあらかじめ設定しておくと、経営層も判断しやすい。

予算は一度組んだら終わりではない。四半期ごとに実績を振り返り、配分を調整していく柔軟さが、マーケティング投資の精度を高めていく。

Author

執筆

ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

株式会社ローカルマーケティングパートナーズ代表取締役。BtoBマーケティング支援に特化し、戦略設計から施策実行まで一気通貫で担うBPO型支援を推進。中堅・成長企業を中心に、マーケティング組織の立ち上げ・運用改善の実績多数。

Next Step

マーケティングの課題、まずはお気軽にご相談ください

BtoB・BtoCのマーケティング支援について、3分で分かる資料をご用意しています。

Contact Us

まずは無料でご相談ください

戦略のご相談から資料のダウンロードまで、お気軽に。