ペットショップのSNS運用と来店促進の実務
SNS運用

ペットショップのSNS運用と来店促進の実務

執筆: ローカルマーケティングパートナーズ 編集部

監修: 山本 貴大

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ペットショップのSNS運用は子犬・子猫の写真と動画を軸に、Instagram・TikTokの2チャネルで来店と問い合わせを増やすのが基本設計です。動物のコンテンツはSNSで拡散されやすく、新規リーチの獲得に大きな力を発揮します。ただし生体を扱う業態のため、SNSで担うのは「来店のきっかけづくり」までで、販売契約は店頭での対面・現物確認が前提になる点が一般の小売と異なります。この記事では、投稿設計から撮影、来店導線、お迎え後のフォロー、アカウントの立ち上げと広告の使いどころ、運用で守るべき法令とリスク管理までを一通り解説します。

  • Instagramはフィード+リールの2本立て — フィードでストック型の写真ギャラリー、リールで動画による新規リーチ獲得
  • TikTokは動画バイラルの入口 — 子犬・子猫の短尺動画は再生数が伸びやすく、認知拡大に最適
  • ストーリーズで「今日のお迎え可能な子」を毎日更新 — リアルタイム性が来店の背中を押す
  • プロフィールから問い合わせ・来店の導線を最短に — 気になった人がすぐアクションできる設計
  • お迎え後のフォローでLTV向上 — 飼い主との継続関係がリピート購入と口コミにつながる

この記事では、ペットショップに特化したSNS運用の実務を解説します。店舗ビジネスのInstagram運用TikTokで店舗認知を広げる運用術も参考にしてください。

ペットショップにとってのSNSの位置づけ

ペットショップの購買行動は、他の小売業と異なる特徴があります。

ペットショップの購買行動の特徴

特徴一般小売との違い
検討期間が長い衝動買いより計画的な検討が多い
感情的な決定要因が大きい「この子がかわいい」が来店の最大動機
実物を見て決めるECでの購入ではなく来店が前提
エリアの制約が強い近隣店舗から選ぶ傾向

SNSは「来店のきっかけ」を作るメディアです。子犬・子猫の写真や動画を見て「この子に会いたい」と思った飼い主候補が来店し、対面で相性を確認して「お迎え」を決める。この流れの入口をSNSが担います。同じペット業界ではペットサロンの集客施策もSNS活用が中心ですが、ショップはお迎え前の「出会い」、サロンはお迎え後の「通い」が軸になる点で運用の方針が異なります。

SNSのチャネル別役割

チャネル役割主要コンテンツ
Instagram フィードストック型ギャラリーお迎え可能な子の写真カタログ
Instagram リール新規リーチ獲得子犬・子猫の動画
Instagram ストーリーズリアルタイム情報本日のお迎え可能な子、新着情報
TikTokバイラル・認知拡大動物の短尺動画
LINE公式リピート・フォローお迎え後のケア情報、セール案内

Instagram運用 子犬・子猫の写真で来店を促す

フィード投稿の設計

フィード投稿は「今お迎えできる子」の写真カタログとして機能させます。

  • 犬種・猫種名 — 品種を正確に記載(例: トイプードル レッド)
  • 性別・月齢 — オス/メスと生年月日
  • 性格の特徴 — 「人懐っこい」「おとなしい」など飼い主が気にするポイント
  • 価格 — 記載ポリシーによるが、問い合わせのハードルを下げるなら掲載推奨
  • 問い合わせ方法 — DM、電話、LINE公式のいずれかを明記

リール動画の活用

リール動画はフォロワー以外にもリーチできるため、新規獲得に最も効果的なフォーマットです。

  • おすすめの動画パターン — 子犬が初めておもちゃで遊ぶ様子、兄弟犬がじゃれあう様子、お迎えの瞬間
  • 尺の目安 — 15〜30秒。最初の3秒で注目を引く
  • 音楽 — 流行のBGMを使うとリーチが伸びやすい

ストーリーズの運用

ストーリーズは「今日の情報」をリアルタイムで届ける役割です。

  • 毎日更新 — 「本日お迎え可能な子」の写真と簡単な紹介
  • 予約状況 — 「見学予約は本日あと2枠」のような情報
  • スタッフの日常 — 動物の世話やお手入れの風景
Instagram投稿の3つの役割 フィード投稿 写真カタログ お迎え可能な子の紹介 犬種・性別・月齢を明記 週3〜4回投稿 保存率が重要指標 リール動画 新規リーチ獲得 子犬・子猫の動画 15〜30秒の短尺 週2〜3回投稿 再生数が重要指標 ストーリーズ リアルタイム情報 本日のお迎え可能な子 予約空き状況 毎日1〜3件更新 DM数が重要指標
ペットショップのInstagram投稿フォーマットと役割別の運用ポイント

TikTokの活用 動物動画でバイラルを狙う

TikTokが効く理由

TikTokのアルゴリズムは、フォロワー数に関係なく「良いコンテンツ」をおすすめフィードに表示します。動物の動画は普遍的に人気が高く、新規アカウントでも数万〜数十万再生を記録することがあります。

動画コンテンツのパターン

パターン内容バイラル度
おもちゃ遊び子犬が初めておもちゃで遊ぶ様子
兄弟のじゃれあい子犬同士・子猫同士の遊び
お迎えの瞬間飼い主候補との初対面非常に高
お手入れ風景シャンプーや爪切りの様子
スタッフとの触れ合いスタッフに甘える動物

投稿のポイント

  • 縦型全画面で撮影 — スマートフォンを縦にして撮影
  • 最初の1秒で引きつける — 動物のアップから始めると視聴継続率が上がる
  • テキストオーバーレイ — 「この子、今日お迎えできます」のようなテキストを重ねる
  • ハッシュタグ — #子犬 #子猫 #ペットショップ +地域名

投稿設計と撮影のコツ

撮影の基本ルール

  • 自然光を使う — 窓際で撮影すると自然な色味になる。蛍光灯の下は色が不自然になりやすい
  • 目線の高さで撮る — 人間の目線から見下ろすのではなく、動物と同じ高さにカメラを構える
  • 目にキャッチライトを入れる — 窓からの光が動物の目に映り込むと、表情が生き生きと見える
  • 背景をシンプルに — 白やパステルカラーの背景がベスト。ごちゃごちゃした背景は動物が目立たない
  • フラッシュは使わない — 動物のストレスになるため厳禁

撮影効率を上げる工夫

毎日の投稿を継続するために、撮影の効率化も重要です。

  • 撮影ブースを常設する — 店内の一角に撮影スペースを作り、背景と照明を固定する
  • まとめ撮りする — 週に1〜2回、撮影タイムを設けて複数の動物をまとめて撮影
  • 動画と写真を同時に撮る — リールとフィードの素材を同時に確保
  • お客様の許可を得て撮影 — お迎えの瞬間やペットとの触れ合いシーンは最も反応が良い

ハッシュタグの設計

ハッシュタグは新規リーチの入口です。品種ファン・地域・企画の3層で設計すると、来店可能な商圏内の見込み客に届きやすくなります。

種類狙い
品種タグ#トイプードル #マンチカン #子犬のいる暮らし品種で探す飼い主候補にリーチ
地域タグ#渋谷ペットショップ #世田谷子犬商圏内の来店可能層に絞る
企画タグ#本日のお迎えっ子 #◯◯店スタッフ日記シリーズ化で再訪・指名を促す

地域タグは来店につながりやすい一方でリーチは狭く、品種タグは広いがエリア外にも届きます。両方を組み合わせ、投稿ごとに10〜15個を目安に付けます。流行のチャレンジタグに無理に乗るより、品種名と地域名を軸にした地に足のついた設計のほうが、来店という成果につながります。

SNSから来店・問い合わせにつなげる導線

プロフィールの設計

Instagramのプロフィールは以下の要素を含めてください。

  • 店舗名+エリア — 「ペットショップ○○|渋谷店」
  • 取扱い種類 — 「子犬・子猫・小動物」
  • 営業時間 — 「10:00-20:00 定休日なし」
  • リンク — 予約・問い合わせページまたはLINE公式のURL

投稿からの導線

各投稿のキャプション末尾に以下を添えてください。

  • 「この子に会いたい方はDMまたはプロフィールのリンクからご予約ください」
  • 「見学のご予約はプロフィールのURLから」

ストーリーズからの導線

ストーリーズにはリンクスタンプを貼れます。「見学予約はこちら」のリンクスタンプを使い、予約ページやLINE公式への導線を設置してください。

お迎え後のフォローでリピートを生む

お迎え後のフォロー施策

タイミング施策目的
お迎え当日LINE公式の友だち追加案内継続接点の確保
1週間後「お家に慣れましたか?」のメッセージ信頼関係の構築
1ヶ月後ワクチン接種のリマインド追加売上+健康管理
2〜3ヶ月後トリミングの案内関連サービスの利用促進
定期フードやおやつの新商品案内リピート購入

飼い主のSNS投稿をリポストする

お迎え後の飼い主がInstagramで成長記録を投稿した際、ストーリーズでリポストすると相互の関係が深まります。飼い主にとっては「お店に覚えてもらえている」という嬉しさがあり、ショップにとっては「幸せなお迎えの事例」として信頼感につながります。こうした口コミはGBPの口コミ管理にも波及し、Google検索からの来店促進にも貢献します。

お迎え後のフォローサイクル お迎え当日 LINE友だち追加 1週間後 様子伺いメッセージ 1ヶ月後 ワクチンリマインド 定期フォロー フード・用品・トリミング案内 飼い主のSNS投稿をリポスト → 口コミ拡散 + 信頼構築のサイクルが回る 成長記録の共有がショップの実績コンテンツになる
お迎え後のフォローサイクルとSNS上の口コミ拡散の仕組み

アカウントの立ち上げと広告の使いどころ

開設直後はフォロワーもリーチも少なく、投稿しても反応が薄い時期が続きます。この立ち上げ期をどう抜けるかで、その後の伸びが変わります。

最初の100フォロワーの集め方

立ち上げ期は、すでに接点のある人から広げます。来店客やお迎え後の飼い主にアカウントを案内し、店頭のPOPやレシート、名刺サイズのカードでフォローを促します。スタッフ個人のアカウントから店舗アカウントを紹介してもらうのも有効です。最初の数十人が投稿に反応してくれると、アルゴリズム上の初速がつき、おすすめ表示に乗りやすくなります。フォロワー数を購入する行為は、反応率が下がってかえって表示が伸びなくなるため避けてください。

Instagram・TikTok広告を使うタイミング

オーガニック投稿が安定して反応を得られるようになってから、広告で上積みするのが基本の順序です。反応の良かった投稿を広告として配信すると、商圏内の見込み客に絞って効率よくリーチできます。配信設定では店舗から通える距離(半径5〜10km程度)に地域を絞り、犬猫の飼育に関心のある層をターゲットにします。月3〜5万円の予算でも、来店予約につながる投稿を見極めて配信すれば費用対効果を出せます。反応の取れていない投稿に出稿しても伸びにくいため、オーガニックで勝ちパターンを見つけることが先決です。

ペットショップのSNS運用で押さえる法令と炎上リスク

ペットショップは生体を扱う第一種動物取扱業として、SNS運用にも一般の小売業にはない配慮が求められます。投稿の表現ひとつが法令違反や批判につながるため、運用ルールを事前に決めておきます。

販売契約は対面・現物確認が前提

動物愛護管理法では、犬猫などの哺乳類・鳥類・爬虫類を販売する際、事業所で動物の現状を直接見せる現物確認と、特徴や飼養方法を文書で対面説明することが義務づけられています。インターネットだけで売買契約を完結させることは認められていません(環境省「第一種動物取扱業者の規制」)。

SNSの役割はあくまで来店のきっかけづくりです。「DMで予約できます」までは問題ありませんが、「ネットでお迎えできます」と販売そのものが完結するかのような表現は避け、「気になった子は見学予約のうえ店頭でご確認ください」という来店導線に統一します。この線引きを守ることが、結果的にトラブルの少ない健全な集客につながります。

月齢・登録情報の正確な表示

犬猫の販売は生後56日(8週齢)を超えていることが必要で、月齢の表示は正確に行います。投稿やプロフィールに第一種動物取扱業の登録番号や店舗の所在地・連絡先を明記しておくと、購入を検討する飼い主の信頼につながります。標識や識別票の掲示は店頭で義務づけられているため、その情報をSNS上でも一貫させておきます。価格や品種、性別、生年月日を載せる場合は、店頭表示と食い違いが出ないよう運用担当とスタッフで情報を共有します。

命を扱う業態ならではの配慮

ペットショップのSNSは、生き物の命を扱う業態への目線が一般の小売より厳しい点に注意します。売れ残りや値下げをあおる表現、衝動的なお迎えを促す表現は批判を招きやすく、炎上の火種になります。投稿には終生飼養や適正飼養への姿勢を添え、「家族として迎える」という前提を崩さないトーンを保ちます。お迎え後のフォロー投稿を積み重ねることが、こうした信頼の土台にもなります。

SNS運用のKPIと月間スケジュール

KPI設計

指標意味目標の目安
フォロワー数アカウントの規模月100〜200人増
リーチ数投稿が届いた人数フォロワー数の2〜5倍
保存率投稿を保存した割合3%以上
DM数問い合わせ数月10〜20件
来店予約数SNS経由の予約月5〜10件

月間運用スケジュール

曜日InstagramTikTok
月曜フィード投稿(新入荷の子)-
火曜ストーリーズ(本日のお迎え可能な子)-
水曜リール動画TikTok投稿
木曜フィード投稿(お迎え事例)-
金曜ストーリーズ(週末の予約状況)TikTok投稿
土曜ストーリーズ(来店の様子)-
日曜ストーリーズ(来店の様子)TikTok投稿

週末は来店数が多い曜日のため、ストーリーズでリアルタイムの様子を積極的に発信してください。

投稿の振り返りと改善

数値を見ずに投稿を続けても、伸びる投稿の傾向はつかめません。週に一度、保存数・リーチ・プロフィールアクセスの多かった投稿を確認し、反応の良かったテーマや時間帯を次の投稿に反映します。保存数が多い投稿は「あとで見返したい=来店を検討している」サインで、来店につながりやすいテーマです。反応の薄い投稿の型は減らし、勝ちパターンに投稿を寄せていきます。この振り返りを習慣にすると、同じ投稿本数でも来店への効率が上がっていきます。月に一度はDM数と来店予約数を照らし合わせ、SNSが実際の来店にどれだけ貢献しているかを確認してください。

運用コストの目安

項目月間コスト
自社運用(人件費除く)0円
Instagram広告(任意)月3〜5万円
撮影機材(初期投資)1〜3万円
SNS運用代行(外注する場合)月10〜20万円

自社で運用する場合、スタッフ1名が毎日30分〜1時間を投稿作業に充てる想定です。撮影は日常業務の中で行うため、追加の時間はそれほどかかりません。

SNS運用でやりがちな失敗

成果が出ないケースには共通のつまずきがあります。施策を増やす前に、足元の運用を見直すほうが効果が出やすい場合が多くあります。

よくある失敗起きること対処
投稿が不定期アルゴリズム評価が下がりリーチが伸びない曜日固定の運用カレンダーを決める
写真の質がバラつく保存や反応が安定しない撮影ブースと自然光で品質を揃える
店舗情報・導線がない反応はあるが来店に至らないプロフィールと各投稿に予約導線を入れる
販売完結を匂わせる表現法令違反やトラブルのリスク来店・現物確認を前提とした文言に統一する
お迎え後の発信がないリピートや口コミにつながらないフォロー投稿とリポストを習慣化する

SNSの運用全般については店舗ビジネスのInstagram運用で詳しく解説しています。

SNSと並行して取り組むべきSEO対策の進め方は店舗のSEO対策ガイドで解説しています。

よくある質問

Q. ペットショップのSNSでフォロワーを増やすにはどうすればよいですか

A. 子犬・子猫の動画リールを週2〜3回投稿することが最も効果的です。動物の動画はSNSで拡散されやすく、特にTikTokとInstagramリールは新規リーチの獲得に強いチャネルです。地域ハッシュタグを活用し、来店可能な商圏内のフォロワーを意識して増やしてください。

Q. 子犬・子猫の写真撮影で気をつけるポイントは何ですか

A. 自然光で撮影し、目にキャッチライトが入る角度を意識してください。目線の高さまでカメラを下げて撮影すると可愛らしい表情が撮れます。背景はシンプルに、動物が際立つ構図にすると保存率が上がります。フラッシュは動物のストレスになるため使用しないでください。

Q. SNSからの来店率を上げるにはどうすればよいですか

A. 投稿に必ず店舗情報(所在地・営業時間)を添え、プロフィールから予約・問い合わせページへの導線を設置してください。ストーリーズで『本日のお迎え可能な子』を毎日更新し、気になった方がすぐに問い合わせできる動線を用意するのが効果的です。

Q. SNSやインターネットだけで子犬・子猫を販売できますか

A. できません。動物愛護管理法により、犬猫などの販売では事業所で動物を直接見せる現物確認と、特徴や飼養方法の対面説明が義務づけられており、インターネットだけで売買契約を完結させることは認められていません。SNSはあくまで来店のきっかけづくりの役割で、「気になった子は見学予約のうえ店頭でご確認ください」という来店導線に統一してください。

Q. お迎え後の飼い主にSNSでフォローする意味はありますか

A. お迎え後の飼い主に成長記録の投稿をリポストしたり、[LINE公式アカウント](/media/columns/btoc-pet-line-official/)で育て方の情報を配信することで、トリミングやフード・用品の追加購入、紹介によるSNSでの口コミ拡散が期待できます。お迎え後のフォローがLTV向上とSNS上の自然な口コミ獲得の両方に効果を発揮します。

Author / Supervisor

山本 貴大

監修

山本 貴大

代表取締役 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ

中央大学卒業。日系上場コンサルティング会社で3年勤務後、M&Aベンチャー執行役員を経て2022年に独立。BtoBマーケティング支援・FC加盟店開発・M&Aアドバイザリーを専門領域として、戦略設計から施策実行まで一気通貫で担う伴走型支援に取り組んでいる。

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